「Firebase Studioって、もう終わったんだよね?」——編集部でもこの話題が出たので、公式で裏を取りました。

結論から言うと、終了は確定済みです。しかも新規登録はすでに止まっています。そして、残された時間は2027年3月22日まで。この日を過ぎるとデータは永久に削除されます。

この記事では、公式ドキュメントに書かれている正確なスケジュールと移行手順、そして移行先2つ(Antigravity / Google AI Studio)の選び方を整理します。移行先のうちAI Studioについては、編集部が実際に触った所感も添えます。

本記事の日付・手順・バージョンは2026年7月31日時点で、Firebase Studio公式サイトおよびGoogle公式ドキュメントを確認して記載しています。移行ツールの仕様は更新される可能性があるため、実行前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

この記事の対象読者

  • 現在Firebase Studioでアプリやプロトタイプを動かしていて、移行が必要かどうか・いつまでに動けばいいかを知りたい人
  • Antigravity・AI Studioという名前は聞いたことがあるが、どちらを選べばいいか判断できていない
  • Node.js・npm・Firebase CLIといったコマンドラインツールを一通り使ったことがある人(本記事の移行手順はターミナル操作を含みます)

逆に、Firebase Studioを使ったことがなくこれから新規で開発環境を選ぶだけの人は、この記事よりGoogle Antigravityを実機で試した記事AIアプリ開発ツール3つを実機比較のほうが参考になります。

まず結論:スケジュールと「今どうなっているか」

Firebase Studioのトップページには、現在こんな告知帯が出ています。

We're sunsetting Firebase Studio on March 22, 2027 so you can no longer create new workspaces. Move your code to Google AI Studio or Google Antigravity to continue building.

公式ドキュメントに記載されているスケジュールは次のとおりです。

日付 何が起きる/起きた
2026年3月19日 サンセットを告知。移行ツールの提供開始
2026年6月22日 新規ワークスペース作成と新規ユーザー登録を停止(済)
〜2027年3月22日 この間に既存プロジェクトを移行する必要がある
2027年3月22日 Firebase Studioをシャットダウン。残存データを永久削除

つまり2026年7月末の今は「新規では作れないが、既存ユーザーは使える」状態。移行のリミットまで残り約8か月です。

慌てなくていいこと(重要)

「Firebaseが終わる」と誤解されがちですが、終わるのは開発環境である"Studio"だけです。公式にはこう明記されています。

Your core Firebase services (Cloud Firestore, Authentication, App Hosting, etc.) are not affected.

  • Cloud Firestore、Authentication、App Hosting などのコアサービスは影響なし
  • すでにデプロイ済みのアプリも動き続けます

消えるのは「ブラウザ上の開発ワークスペース」であって、データベースや認証、稼働中のサービスではありません。ここを取り違えて焦る必要はありません。

移行先は2つ。Googleが示す選び方

Googleは移行先としてAntigravityGoogle AI Studioの2つを提示し、選択基準も公式に書いています。

Google Antigravity Google AI Studio
形態 デスクトップアプリ(IDE) ブラウザ
向いている人 エージェント優先のデスクトップ環境を好む/テンプレートから作る/Code Viewを多用する ウェブベースの体験を好む/App Prototyping agentで素早く試作/プロンプトから本番アプリへの最短ルートが欲しい
料金 公式に「Available at no charge 無料枠あり(公開時はGoogle Cloud側の設定が必要)
ひとことで 本格開発向け 手軽さと速さ向け

平たく言えば、コードを自分で見て育てたいならAntigravity、ブラウザで完結させたいならAI Studioです。

移行先①:Antigravity(デスクトップのエージェント型IDE)

公式では「エージェント時代のための開発プラットフォーム」と位置づけられています。

Google Antigravity is our agentic development platform, allowing anyone to build in the agent-first era.

特徴として、複数のローカルエージェントを並列で動かす管理機能(agent manager)、アーティファクト表示、コードベースの深い理解が挙げられています。フロントエンド開発では「browser-in-the-loop」——エージェントがブラウザを操作しながら反復作業を自動化する仕組みも案内されています。

対応OS(ダウンロードページ記載)

OS 提供 要件
macOS Apple Silicon / Intel macOS 12(Monterey)以上。X86は非対応
Windows x64 / ARM64 Windows 10(64bit)
Linux x64 / ARM64 glibc 2.28以上(Ubuntu 20、Debian 10、Fedora 36、RHEL 8 等)

主要3OSすべてに対応しています。

追記(2026年8月15日):初出時「Antigravity CLI はmacOSとLinuxのみの提供」と書きましたが、その後 Windows版(PowerShell / CMD)も配布されています。あわせて製品が Antigravity 2.0 / CLI / IDE / SDK の4つに分かれました。この記事のAntigravityの記述はIDEについてのものです。

Antigravityへの移行手順(公式)

前提:Antigravity IDE / Node.js 20以上 / Firebase CLI 15.10.0以上 をインストール。

  1. Firebase Studioで 「Move now」→「Zip and Download」 でプロジェクトを丸ごとダウンロード (コマンド派は npx firebase-tools@latest studio:export PATH でもエクスポート可)
  2. ダウンロードしたフォルダを Antigravity IDEで開く
  3. Agentペインで @fbs-to-agy-export と入力 → 自動で移行処理
  4. 左サイドバーの Run and Debug から再生ボタンでローカル確認
  5. Agentチャットで 「Publish my app」 と指示すると、既存URLへ公開できる

「既存URLを維持したまま公開できる」のは、すでに人に共有しているアプリがある人には大きなポイントです。

編集部の注記(更新:2026年8月15日):初出時は「デスクトップアプリのため実機確認ができていない」と記載していましたが、その後実際にインストールして検証しました。中身がVS Codeのフォークであること、無料プランでClaude Opus 4.6まで選べること、そしてAcceptを押す前にファイルがディスクへ書き込まれているという公式に記載のない挙動まで確認しています。詳しくはGoogle Antigravityを実機で試したをご覧ください。

移行先②:Google AI Studio(ブラウザで完結)

こちらはブラウザだけで完結するため、「とりあえず動かし続けたい」人には手軽な選択肢です。

AI Studioへの移行手順(公式)

  1. Firebase Studioで 「Move now」→「Prepare for AI Studio」 を選択(自動変換が走る)
  2. 公開方法を選ぶ
    • Option A:App Hostingで既存URLを維持(GitHub Syncを活用)
    • Option B:Cloud Runで新しいURLに公開(ワンクリック)

なお、ネット上の解説記事には「AI Studioへの移行はまだ準備中」と書かれたものも見かけますが、公式ドキュメント上ではAI Studioへの移行手順は提供されています(2026年7月31日確認)。この種の情報は動きが速いので、必ず公式を確認してください。

編集部が実際にAI Studioを触った所感

当編集部では別記事で、AI Studioの「Build」に同じ課題(割り勘計算アプリ)を投げる実機検証を行いました。移行先として検討している方向けに、正直な所感を共有します。

良かった点

  • 出てきたアプリは検証した3ツール中もっとも高機能でした(端数の負担方向に加えて、丸め単位1円/10円/100円/1,000円の切り替えまで実装)
  • ブラウザだけで完結し、PreviewとCodeを行き来しながら育てられる

引っかかった点

  • 内部エラー(An internal error occurred)が3回連続で発生し、ビルドが通りませんでした
  • さらに、途中で指示そのものを見失う場面も(「ワークスペースはまっさらです。何を作りますか?」と聞き返された)
  • 同じ指示を入れ直して4回目で132秒かけて完成
  • 公開(Publish)にはGoogle Cloudプロジェクトと課金アカウントの紐づけが必要で、「作ったものを見せたいだけ」の人にはハードルがあります

当時のモデル表記は Gemini 3.1 Pro Preview。「Preview」であることは差し引くべきですが、移行してすぐ快適とは限らないというのは知っておいて損はありません。詳細はAIアプリ開発ツール3つを実機比較にまとめています。

つまずきどころ:手順どおりに進めても起きること

移行手順自体はシンプルですが、前提条件を見落とすと途中で止まります。躓きやすい箇所と、確認すべき順番をまとめます。

症状 考えられる原因 対処の順番
@fbs-to-agy-export を実行してもAntigravityが反応しない、またはエラーになる Node.js・Firebase CLIが要求バージョン(Node.js 20以上/Firebase CLI 15.10.0以上)を満たしていない 1. node -vfirebase --version でバージョンを確認する 2. 古ければ先にアップデートしてから再実行する
npx firebase-tools@latest studio:export PATH がコマンドとして見つからないと言われる firebase-tools 自体が未インストール、またはnpmのパスが通っていない 1. npx はその場でパッケージを取得するコマンドなので、まずネットワーク接続を確認する 2. それでも失敗する場合は npm install -g firebase-tools で明示的にインストールしてから再度試す
Antigravityで開いたプロジェクトが「Publish my app」を実行しても既存URLに反映されない Firebase側の認証(ログイン)がAntigravity IDE側で通っていない 1. Antigravity内でFirebaseアカウントに再ログインする 2. それでも直らない場合は「Move now」からのエクスポートをやり直す
AI Studioの「Prepare for AI Studio」後、公開(Publish)ボタンが押せない Google Cloudプロジェクトと課金アカウントが紐づいていない(前述の「引っかかった点」と同じ制約) 1. Google Cloud Consoleで対象プロジェクトに課金アカウントを設定する 2. 設定後にAI Studioの画面を再読み込みする

原因の切り分けは、「移行元(Firebase Studio)の問題」か「移行先(Antigravity/AI Studio)の前提条件の問題」かを先に区別すると早いです。ほとんどのつまずきは後者、つまり事前準備の不足です。

やってはいけないこと

  • バックアップを取らずに「Move now」だけ押して安心する:エクスポートが成功したかどうかは、ダウンロードしたZipやエクスポート先フォルダの中身を自分の目で確認するまで分かりません。移行完了の判断は、移行先で実際にアプリが動いてから行ってください。
  • 公開URLを維持できる方式かどうかを確認せずに進める:Antigravityの「Publish my app」もAI StudioのOption Aも既存URLを維持できますが、選択を誤ると新しいURLに切り替わり、共有済みのリンクが無効になります。
  • 「Preview」表記のモデルやツールを本番運用のまま使い続ける:AI Studio移行時点のモデルは「Preview」表記でした。個人の検証や社内利用ならともかく、外部公開しているサービスの場合は安定版への切り替え時期を別途確認してください。
  • コアサービス(Firestore・Authenticationなど)まで移行対象だと思い込んで手を加える:前述のとおりコアサービスは影響を受けません。触らなくていい部分に手を加えると、かえって不具合の原因になります。

期限までにやることチェックリスト

移行はギリギリにならないうちに済ませるのが安全です。2027年3月22日を過ぎるとデータは回復できません

  • 手元にコードを退避する(「Move now」→「Zip and Download」、または npx firebase-tools@latest studio:export PATH
  • 移行先を決める(コードを触るならAntigravity/ブラウザで済ませたいならAI Studio
  • Antigravityなら Node.js 20以上・Firebase CLI 15.10.0以上を用意
  • 公開URLを共有済みなら、既存URLを維持できる方式(Antigravityの「Publish my app」/AI StudioのOption A)を選ぶ
  • 移行後、実際にアプリが動くか自分で確認する(AIの「完成しました」を鵜呑みにしない)
  • Firestore・Authなどコアサービスは触らなくてよいことを確認して、無駄な作業を増やさない

よくある質問

Q. Firebase Studioが終了しても、すでに公開しているアプリは止まりますか? A. 止まりません。終了するのはブラウザ上の開発環境(Studio)だけで、Cloud FirestoreやAuthentication、App Hostingなどのコアサービス、およびそこにデプロイ済みのアプリは影響を受けません。

Q. AntigravityとAI Studio、結局どちらを選べばいいですか? A. コードを自分の目で見ながら育てたい、または複数OSでローカル開発したいならAntigravity。ブラウザだけで完結させたい、公開までの最短ルートを優先したいならAI Studioです。判断に迷う場合は、記事内の比較表を基準にしてください。

Q. 移行作業には何が必要ですか? A. Antigravityへの移行にはNode.js 20以上とFirebase CLI 15.10.0以上が必要です。AI Studioへの移行はブラウザ操作が中心ですが、公開(Publish)にはGoogle Cloudプロジェクトと課金アカウントの紐づけが必要になります。

Q. 移行にかかる期限はいつまでですか? A. 公式スケジュールでは2027年3月22日にシャットダウンし、データは永久に削除されます。新規ワークスペースの作成自体は2026年6月22日にすでに停止しています。日付は変更される可能性があるため、実行前に必ず公式サイトの最新の告知を確認してください。

Q. 移行後にツール選びで迷ったら、どこを見ればいいですか? A. 同時期に公開されているAIアプリ開発ツールの比較記事や、Antigravityの実機レビュー記事が参考になります。特徴が近い製品同士を横並びで比較したい場合はAntigravity vs v0:同じ仕様で作らせて比較もあわせてご覧ください。

まとめ

  • Firebase Studioはサンセット確定2026年6月22日に新規登録は停止済み2027年3月22日にシャットダウン+データ永久削除
  • 終わるのはStudio(開発環境)だけ。Firestore・Authentication・App Hostingなどのコアサービスと、デプロイ済みアプリは影響なし
  • 移行先はAntigravity(デスクトップIDE・無料・主要3OS対応・本格開発向け)AI Studio(ブラウザ完結・手軽さ重視)の2択。
  • 手順は公式に整備済み。既存URLを維持したまま公開し直す道も両方に用意されている。
  • ただしAI Studioは編集部の実機検証で内部エラー3連続+公開に課金設定が必要という引っかかりもあった。移行=即快適とは限らない前提で、早めに動くのが安全。

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