「最近、ChatGPTやGeminiで“文章だけ”でアプリやサイトが作れるようになったらしい」——そんな声をよく聞くようになりました。バイブコーディング(AIに言葉で指示して作る開発スタイル)の一番わかりやすい入口が、まさにこのチャットAIの“Canvas”機能です。

でも、実際どこまでできるのか? 「作れた!」の裏で、実務ではどんな落とし穴があるのか。バイブナビ編集部で、Google Geminiの「Canvas」を実際に触って検証しました。題材は、誰もが結果を判断しやすい「割り勘アプリ」。忖度なし・短所も併記でいきます。

この記事は編集部が2026年7月に実機で検証した記録です。AIの出力は日々変わるため、細部は時期により異なります。

そもそもGemini Canvasとは

Gemini Canvasは、GoogleのチャットAI「Gemini」に付いている、文章・コード・アプリを“作りながら”編集できるモード。チャット欄の「+」から Canvas をオンにして指示すると、右側にその場で動くプレビューが出てきます。

ポイントは、Googleアカウントさえあれば、追加の登録なしで使えること。今回は無料の「Flash」モデルのまま試しました(有料プラン不要)。

実際に指示した文章(これだけ)

編集部が入力したのは、次の1文だけです。

シンプルな割り勘計算アプリを作って。合計金額と人数を入力すると1人あたりの金額が計算される。端数(割り切れない分)を誰か1人が多めに払う設定も選べるようにして。日本語UI、スマホでも使いやすいレイアウト、やさしい配色で。

送信して、待つこと約40秒。右側に、動く割り勘アプリが出てきました。

何ができたか(指示以上だった)

正直、指示した内容の“上”を作ってきました。完成物には次の機能が入っていました。

  • 合計金額の入力(+1,000/+5,000/+10,000のクイック入力ボタン付き)
  • 人数のステッパー(+/−で増減)
  • 端数の丸め単位を選択(1円/10円/100円/1000円)
  • 端数の負担方法を3モードから選択
    • 幹事(1人)が多めに払う
    • 全員で切り上げて多めに集める
    • 幹事(1人)を安くする
  • 計算結果パネル(一般メンバーの1人あたり/幹事の負担/現金合計/お会計との差額)
  • 結果をLINEやメッセージ用にワンタップでコピー

「端数は誰か1人が多めに」としか言っていないのに、“丸め単位”や“幹事を安くする”といった現実的なパターンまで気を利かせて足してきたのは素直に感心しました。UIも要望どおり、やさしいミント系の配色・スマホ最適・日本語フォント(Noto Sans JP)で整っています。

コード側も確認しました。中身は単一のHTMLファイル(Tailwind CSS+Noto Sans JP+アイコンライブラリ)で、余計な依存がなく、そのまま配布・公開できる清潔な作りでした。「コード/プレビュー」を切り替えて中身を見られるのも、勉強用に良い設計です。

良かった点

  • 登録の壁がない:Googleログインだけ。別サービス(例:Boltなどは最初にアカウント登録が必須)と違い、思い立った瞬間に試せる。
  • 速い・無料:無料のFlashで、1文から数十秒。アイデアの“たたき台”を作る速度としては圧倒的。
  • 日本語が自然:UI文言も説明も日本語として違和感がない。海外ツールにありがちな“翻訳くささ”がない。
  • 意図を汲む:ざっくりした指示から、現実的な機能を補完してくれる。要件が固まっていない段階の壁打ちに強い。

正直な短所・注意点(ここが本題)

「作れた」で終わらせないために、実務目線での注意を正直に書きます。

  • あくまで“プロトタイプ”:その場で動くのは素晴らしいが、保存・URL公開・独自ドメインでの本番運用となると、そのままでは足りません。人に使ってもらう段階では、公開先(ホスティング)やデータ保存の設計が別途必要です。
  • ロジックは自分で確認すべき:画面にも「Geminiは間違えることがあります」と明記されているとおり、計算結果が常に正しい保証はありません。編集部の検証では、生成されたUI・機能・コード構成までは確認できましたが、あらゆる金額パターンでの計算値の厳密検証は、公開前に人間が必ず行うべきです。“それっぽく動く”と“正しく動く”は別物、という原則はAI生成でも変わりません。
  • 速さの裏返し:無料のFlashは速い一方、要件が複雑になるほど詰めが甘くなる場面が想定されます。凝った仕様は、指示を分割して段階的に直していく前提で。
  • 「作れる」と「運用できる」は別スキル:ここが一番大事です。Canvasは“作る”を劇的に楽にしますが、公開・保守・改善・セキュリティまで含めた“運用”は、依然として設計の知識が要ります。

結論:誰に向く/向かない

向いている人

  • アイデアを数分でたたき台にしたい人(非エンジニア含む)
  • 企画・提案の場で「こういうイメージ」を動くもので見せたい
  • バイブコーディングをまず無料で体験してみたい

向かない(=別の手段が良い)ケース

  • そのまま本番公開・チーム開発したい → Cursor や Claude Code などの開発特化ツール、または制作依頼へ
  • 計算やお金が絡む正確性が命の用途 → 生成後に必ず人の検証を挟む前提で

Gemini Canvas(とChatGPTのCanvas)は、「文章だけで“動くたたき台”がここまで出る」時代になったことを実感させてくれます。まずは無料で、あなたの“作りたい”を1文投げてみるのがおすすめです。そのうえで、本番運用まで見据えるなら、次の一歩として開発特化ツールや相談先を検討していきましょう。

まとめ

  • Gemini CanvasはGoogleログインだけ・無料のFlashで使え、1文から数十秒で動くアプリが出た。
  • 「割り勘アプリ」では指示以上の作り込み(丸め単位・端数3モード・LINEコピー)。UI・コードとも清潔。
  • ただしプロトタイプ止まり。本番運用(公開・保存・保守)と計算の正確性の検証は人間の仕事。
  • “作る”は激変したが、“運用できる”は別スキル。入口としては最高

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