「AIでアプリが作れる」と聞いても、具体的に何が作れるのかが分からないと動けません。

この記事では、非エンジニアでも現実的に到達できるものを難易度順に10例挙げます。あわせて、まだ厳しい領域にもはっきり線を引きます。期待値がずれたまま始めるのが、一番の遠回りだからです。

この記事の前提

  • 対象:プログラミング未経験、またはごく浅い経験の非エンジニアの方
  • 前提知識:プログラミングの知識は不要です。ただし「フォルダ」「ファイル」「URL」といったパソコンの基本操作は分かっている前提で書いています
  • 想定ツール:ChatGPT・Claude・GitHub Copilotなど、AIとの対話でコードを作るツール全般を想定しています。ツール選びはAIコーディングツール比較を参照してください

用語のかんたん解説

本文で説明なしに出てくる言葉を先に整理します。

用語 意味
バイブコーディング(vibe coding) 自分でコードを書かず、AIに指示(プロンプト)を出してアプリやツールを作る開発スタイル
プロトタイプ 本番運用ではなく、動作や見た目を確認するための試作品
外部連携 自分のアプリから、他社のサービス(決済・カレンダー・チャットツールなど)を呼び出して使うこと
基幹システム 止まると会社の業務が止まってしまう、中核の業務システム(会計・在庫管理など)

レベル1:初日に届く(数十分〜数時間)

1. 自己紹介・ポートフォリオの1ページサイト

文章と写真を渡して「こういうページにして」と言うだけで形になります。最初の「動いた」を体験するのに最適です。

2. 計算ツール(見積もり・割り勘・単位換算)

入力欄と計算ロジックだけの単機能ツール。ルールが明確なので、AIとの相性が非常に良い領域です。

3. 定型文ジェネレーター

「項目を選ぶと、メール文面が出てくる」タイプ。営業や事務の現場で地味に効きます。

レベル2:数日で届く

4. データを保存するメモ・記録アプリ

読書記録、トレーニング記録、経費メモなど。「保存する」が入った瞬間に難易度が一段上がりますが、小さく区切れば十分届きます。

5. CSVの整形・集計ツール

「この形式のCSVを読み込んで、こう集計して出して」。Excelでやっている定型作業を、そのまま置き換えられることがあります。

6. 社内向けの簡易チェックリスト・申請フォーム

紙やチャットで回している運用を、Webの形にするだけで管理が楽になります。

レベル3:1〜3週間で届く

7. 会員登録つきのWebアプリ

ログインが入ると、他人のデータが見えてはいけないという要件が発生します。ここから先はセキュリティの確認が必須です。

8. 外部サービスと連携するツール

チャットツールへの通知、カレンダー連携、決済サービスとの接続など。仕様書を読む力が少し要りますが、AIに読ませながら進められます。

9. LINEボット・チャットボット

問い合わせ対応やFAQの自動化。個人事業や小規模店舗で実用になりやすい領域です。

10. 業務システムのプロトタイプ

「本番運用」ではなく「動くたたき台」として作り、関係者と認識を合わせる用途。ここがバイブコーディングの最も費用対効果が高い使い方かもしれません。

レベル別、つまずきやすいポイント

実際に手を動かすと、レベルごとに引っかかりやすい場所が変わります。先に知っておくと、迷う時間が減ります。

レベル つまずきやすい場所 対処の順番
レベル1 「思っていたデザインと違う」が起きやすい 完成形を言葉だけで説明するより、参考にしたいサイトのURLや画像を渡すほうが伝わりやすいです
レベル2 保存したデータが消える・上書きされる いきなり全機能を作らず、まず「保存の仕組み」だけを小さく作って動作確認してから他の機能を足します
レベル2 CSVを読み込むと文字化けする 文字コードが「Shift_JISかUTF-8か」をAIに確認してから読み込ませます
レベル3 ログイン機能で他人のデータが見えてしまう 「Aさんでログインした状態でBさんのデータが見えないか」を必ず自分の手でテストします。詳しくは初心者がやりがちな失敗7つ
レベル3 外部サービス連携でエラーが解決しない エラーメッセージを要約せず、全文をそのままAIに貼ります。要約すると原因が伝わらないことが多いです

逆に、まだ厳しい領域(正直に)

期待値をそろえておきます。以下は「不可能」ではありませんが、AIに任せきりでは危険です。

  • お金を扱うシステム(決済・会計の本番運用)……間違いが直接損害になります。
  • 個人情報を大量に扱うシステム……漏えい時の責任が重すぎます。
  • 止まると業務が止まる基幹システム……障害対応ができる人が必要です。
  • 性能が要求される大規模サービス……設計判断の比重が大きく、経験がものを言います。

共通しているのは、「間違えたときのコストが高い」領域です。ここは、作れるかどうかではなく責任を取れるかどうかの問題です。

何から作るべきか

自分が実際に困っていることを選んでください。他人のお題では続きません。

選ぶときの基準は3つです。

  1. 毎週やっている作業か(頻度が高いほど効果が出る)
  2. ルールが決まっているか(判断が要る作業はまだ難しい)
  3. 間違えても大事故にならないか(最初の1つ目は特に)

この3つを満たすものが、あなたの最初の題材です。

判断に迷ったときの早見表

3つの基準に当てはまらないときは、次の表を目安にしてください。

状況 判断
毎日使う予定だが、間違えると被害が大きい(家計簿と銀行口座を連携するなど) レベルを上げる前に「見るだけ」の機能から始める
ルールが人や部署によって違う(承認フローが部署ごとに違う、など) いったんルールを1パターンに絞ってから作り始める。分岐は後から足す
失敗したときの被害が自分だけで完結する 迷わず最初の題材にしてよい

初心者がやりがちで、あとで困る操作

  • エラーが出るたびに「直して」とだけ伝える:原因を特定せずに直すと、別の場所が壊れることがあります。エラーメッセージ全文と、直前に何をしたかをセットで伝えてください
  • 動くたびにバックアップを取らない:AIの修正で動かなくなったとき、戻れる場所がないと詰みます。区切りのいいところで、こまめに保存してください
  • 個人情報やパスワードをそのままAIとの会話に貼る:サンプルの値に置き換えてから貼ってください
  • 「試作」のつもりが、いつの間にか「本番」で使われている:レベル3以降(会員登録・外部連携)は、公開前にセキュリティの確認を挟んでください

作り始める前に

進め方は独学ロードマップに3ヶ月の設計としてまとめました。ツール選びはAIコーディングツール比較から入るのが早いです。

そして最も効くのは、指示の書き方です。同じツールでも、指示で結果が変わります。

まとめ

  • 1ページサイト・計算ツールなら初日に届く。
  • 保存機能が入ると一段難しくなる。それでも数日の範囲。
  • ログイン・外部連携まで来たらセキュリティ確認が必須。
  • お金・個人情報・基幹系は、任せきりにしない。
  • 題材は「毎週やっていて、ルールが決まっていて、失敗しても平気」なものから。

よくある質問(vibe codingで作れるもの)

Q. プログラミングの勉強は先にしておくべきですか? A. 先に勉強してから始める必要はありません。レベル1・レベル2の題材であれば、作りながら必要な知識だけ都度AIに聞く進め方で十分です。体系的に学びたくなったら独学ロードマップを参照してください。

Q. どのAIツールを使えばいいですか? A. 題材によって向き不向きがあります。ツールごとの特徴はAIコーディングツール比較にまとめています。

Q. レベル3まで、どのくらいの期間で届きますか? A. 本文の「1〜3週間」は、毎日1〜2時間触れる場合の目安です。週末だけの取り組みだと、1〜2ヶ月かかることもあります。触れる頻度によって変わるとご理解ください。

Q. 作ったものは、そのまま公開してもいいですか? A. レベル1・レベル2の個人利用であれば問題ありません。ただしレベル3以降(会員登録・外部連携)は、公開前に初心者がやりがちな失敗7つのチェックを済ませることをおすすめします。

Q. 途中で行き詰まったら、何から確認すればいいですか? A. まず「直前に何をしたか」を思い出し、エラーメッセージ全文をAIに渡してください。原因を推測で決めつけず、エラーの内容から特定するのが近道です。

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